福丸へ
わがやのしあわせ、福丸へ
5歳の誕生日おめでとう。
あなたはたしか
生後6ヶ月でうちに来たから、
もう4年半がたつんだね。
うちで介護をつづけていた
おじいちゃんが亡くなって、
そのあとにすぐ
おばあちゃんも亡くなって、
我が家にとっては大変な年だった。
いろんなことが一息ついたある日、
姉がたまたま通りがかった
獣医さんのところで、
子犬を飼ってくださる方募集、
の張り紙を見て、
見に行こうよと私を誘った。
あなたを見たとたん、
うち来る?
と私は決めちゃった。
もともとおじいちゃんの部屋だった和室と、
そのベランダが
あなたの居場所になったね。
うちでいちばん居心地のいい部屋なんだよ。
今もあなたは
あんまりわかってないと思うけど、
うちは、丸子温泉という街のお風呂屋さん。
おじいちゃんが始めたから、もう60年以上になる。
今もおとうさんとおかあさんと
みんなでがんばってつづけてる。
この丸子温泉に福が来ますように。
そんな気持ちであなたの名前は
「福丸」にしたんだよ。
あなたはほんとうに
福を連れてきてくれた気がする。
家族がケンカしてしゃべらずにいると、
あなたが間に入ってきて、なんとなく
しゃべるようになったり。
実はあなたに勉強させられたこともある。
前までは、私がこうしてあげたのに
誰もこうしてくれない、なんて
人に怒ることが多かった気がする。
でもそれも、私の自分勝手だったなって、
あなたを見ていて思った。
あなたはこうしてあげたのに
こうしてくれない
なんて怒ったことないもんね。
おじいちゃんも生きてたらきっと
あなたを好きになるね。
福丸、これからも元気でね。
このお風呂屋さんに、この街に、
福をつれてきてね。
医療事務
高朋美